産業機器用フィルムコンデンサ
当社は、産業機器向けの「平滑コンデンサ」「フィルタコンデンサ」「充放電用コンデンサ」を基礎材料である金属蒸着フィルムから独自開発・製造しています。特に駆動用インバータユニットに用いられるフィルムコンデンサモジュールは、高周波特性・耐電流性能に優れ、長寿命で高信頼性、安全性が高く、求められる形状に合わせたフレキシブルな対応が可能です。
直流送電システム、工場の電力変換装置、新幹線の駆動電力変換装置、産業用ロボットの制御電源、風力・太陽光発電装置、各種試験設備用等、幅広くご使用頂いております。
特長
フィルムコンデンサの優れた電気特性とフレキシブルな外観・端子形状で産業機器用としてご提供
高周波性能
- シャープな高周波特性
(フィルタ効果に優れる) - 低損失化、省エネルギー
耐電流性能
- 高リプル電流耐量
(単位体積当たり電流密度大)
長寿命
- 厳しい高温度環境条件下で10年以上
メンテナンスフリー
安定した特性
- 温度変化に対して安定した静電容量変化
高信頼性・安全性能
- セルフヒーリングタイプ
- 自己遮断保安機構付加タイプ
形状フリー
- フレキシブルな外観形状
(角形・丸形状) - フレキシブルな端子形状
安全性
自己回復する蒸着電極コンデンサをSH(Self Healing)コンデンサと称します。
自己回復(Self Healing)とは、フィルムの一部が絶縁破壊した場合、破壊点に隣接する電極の微小面積が消滅することによって、瞬間的にコンデンサとしての機能を復元することです。
SHコンデンサは、誘電体に局部的な絶縁破壊が生じても、自己回復性能により破壊部の絶縁は回復します。しかし、寿命末期など自己回復が繰り返し発生して破壊が増大し、万一自己回復機能が不能になっても蒸着電極の抵抗のため、大きな故障電流は流れない特長を有しております。
しかし、この状態のまま使用されますと破壊部のガス発生のためケース内圧が徐々に上昇し、最終的にはケースが破裂して二次災害に進展する場合があります。
このため、保護装置として、ケース変形力を利用して電流を遮断する保安装置、または内圧上昇を検出する圧力異常検出スイッチ、素子内で故障部の電流路を開放する保安機構を採用しております。
(保安装置および保安機構の構造、動作原理については下図をご参照ください)
保安装置の構造と動作原理
ケース変形力利用方式
保安装置の構造と動作原理
a. 保安機構作動前の状態、各電極は正常である。
b. 保安機構作動後の状態、絶縁破損部分の電極が離脱した様子をしめす。
- ①小区分電極の誘電体。
- ②ベタ側電極の誘電体。
- ③自己回復の限界を超え、誘電体が絶縁破損した部分。
- ④③の過電流で電流密度最大部分の電極が消滅、断線し故障電極が回路から離脱した状態。
- ⑤回路から切り離された故障電極。
使用例
記号 | 用途 | 印加波形 | 働き |
C1 | 雑防用コンデンサ | 電源にのってくるノイズや雷等のサージ電圧を吸収することおよびインバータ側の歪みを電源に返さない目的で使用 | |
C2 | フィルタ用コンデンサ | 商用電源を直流電源に変換する回路に使用されるもので、直流電圧を平滑にしたり、高周波のリプル電流を吸収する目的で使用 | |
C3 | スナバ用コンデンサ | 直流電圧を交流電圧に変換するときに生ずるサージ電圧を吸収抑制してスイッチング素子を保護する目的で使用 | |
C4 | ACフィルタ用コンデンサ | 交流に変換された波形上にリプル電圧が重畳されているので、これを除去する目的で使用 |
ラインアップ
下記ラインアップにない製品でも、お客様のご要求にあった製品をご提案いたします。
EJシリーズ
用途 | DCフィルタ用 |
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定格電圧範囲 | 750~3000VDC |
静電容量範囲 | 300~19000µF |
周囲温度 | -40~+75℃ |
RoHS指令対応 | 対応済 |
難燃性 |
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ERシリーズ
用途 | DCフィルタ用 |
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定格電圧範囲 | 750~1500VDC |
静電容量範囲 | 180~700µF |
周囲温度 | -40~+85℃ |
RoHS指令対応 | 対応済 |
難燃性 |
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EMシリーズ
用途 | スナバ用 |
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定格電圧範囲 | 400~2500VDC |
静電容量範囲 | 0.1~13.0µF |
周囲温度 | -25~+70℃ |
RoHS指令対応 | 対応済 |
難燃性 |
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QXLシリーズ
用途 | 交流電源雑防用 |
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定格電圧範囲 | 125,250VAC |
静電容量範囲 | 0.01~1.0µF |
周囲温度 | -40~+105℃ |
RoHS指令対応 | 対応済 |
難燃性 | 難燃焼エポキシ樹脂 |
シミュレーションによる製品開発
過去実績に基づく弊社独自のデータベースから熱解析、インダクタンス解析、振動解析等のシミュレーションを行い、開発スピードアップおよび試作回数削減を実現しております。